日本初!審査員が全員女性の「美酒コン」創設者・友田晶子さんを取材

日本初!審査員が全員女性の「美酒コン」創設者・友田晶子さんを取材

【2023/08/10】“国内初”の女性審査員による日本酒コンクール「Japan Women’s SAKE Award~美酒コンクール~(通称:美酒コン)」の第1回東京大会が、今秋開催されることが5月に発表されました。

主催は、一般社団法人 日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(通称:SAKE女の会)。株式会社美酒企画では、SAKE女の会代表理事で、「美酒コン」の総合コーディネーターを務める友田晶子さんの事務所を訪問し、お話を伺ってきました。

「美酒コン」総合コーディネーター友田晶子さん

―― 女性が主役のコンクールというと、世界中の女性ワイン専門家が選ぶ「フェミナリーズ世界ワインコンクール」が有名ですが、「美酒コン」の構想はいつ頃から描いていたのですか?

友田さん:実は、私は「フェミナリーズ世界ワインコンクール」では数年前から日本の広報大使を務めているんですよ。「美酒コン」をやろうと思ったのは去年の秋か冬頃でしたね。

―― 何が友田さんを、この新しいコンクールの立ち上げへと駆り立てたのでしょうか?

友田さん:まず一つは、「日本酒はどうやって選んでいいかわからない」という方に、わかりやすい指標を提示したいと思ったことです。一口に純米大吟醸といっても色々なタイプがありますし、ラベルも見ただけではどんな味なのか判断するのは難しいですしね。

もう一つは、日本で開催されている女性の審査員によるワインコンクール「サクラアワード」の成功です。やっぱり「女性に認められたお酒」というのは、他のコンクールよりもはるかに注目度が高いということを実感しました。

―― 「美酒コン」は、エントリー部門も独特ですよね。

友田さん:はい、ほとんどのコンクールでは、「純米大吟醸酒部門」などの“特定名称酒”でカテゴライズしたエントリー部門を設けています。

でも「美酒コン」では、「香りと味わいを主軸」にしたいと考え、以下の6部門を設定することにしました。香味違いでの評価を行うため、一般消費者への伝わりやすさという点で優れていると自負しています。

・「フルーティー部門」
・「ライト&ドライ部門」
・「リッチ&ウマミ部門」
・「エイジド部門」
・「スパークリング部門」
・「ロウ・アルコール部門」

―― 確かに“特定名称酒”は、日本酒好きな人にとっては当たり前の常識かもしれませんが、一般消費者の間で浸透しているとは言い難い気がします。

友田さん:“特定名称酒”というのは、あくまでも作っている人たちのスペックで決められているものなんです。純米吟醸といっても、辛口もあるし甘口もある。統一性がないし、必ずしも味わいを表現している訳でもありません。ですから最近では作り手の中にも、“特定名称酒”に対し「そろそろ何とかしなければ」という危機感を募らせているところも増えているんです。そういう意味では、このエントリー部門を設定したのは、良いタイミングだったと思っています。

―― 他にも、バラエティに富んだ賞をいくつも設定なさっていますね。個人的には、特別賞である「ソムリエ賞」「客室乗務員賞」「女将賞」「シェフ賞」「Z世代賞」などがユニークで話題性もあり、消費者にとっても選ぶ際の基準になりやすいと思いますが、そのあたりを意識してのことでしょうか?

友田さん:客室乗務員や女将など、実際に日本酒のサービスの現場で働く方達の意見はとても貴重です。それに、Z世代へのアプローチとしても有効になると思いまして。広く、消費者の方に「日本酒って楽しそうだし面白そう」と身近に感じてもらうきっかけになれば、これ以上の喜びはないですね。

―― 次は審査員の応募基準についてお聞きします。女性であり、なおかつ「唎酒師」など酒類資格を2つ以上持っていることが必須条件だそうですね。

友田さん:酒類資格については悩んだのですが、“誰でもいい”ということには絶対にしたくなかったんですよ。出品なさる蔵元さんたちにとっても、どんな人に審査されるかはすごく重要なポイントです。そこで、やはりしっかりとしたテイスティング能力をお持ちの方にお願いしようと決めたんです。そうなると、資格の所持の有無は客観的な担保となりえますから。

また、できれば飲食業に従事してる方が望ましいとも考えています。先ほども言いましたが、日々日本酒を提供する側の意見はきわめて重要です。さらに、そういう方々とのつながりが増えれば、その後の販売増にも結びつきますし、そういう意味で酒蔵さんにとってのメリットも大きいですから。もちろん審査員の皆さんにも、「審査に関われて良かった」と誇りや喜びを感じていただけるコンクールにしたいと思っています。

―― 審査後は、出品酒すべてに対し、受賞の有無に関わらず結果を無料でフィードバックされると聞いています。これもかなり革新的な試みではないでしょうか。

友田さん:はい、日本酒のコンクールではほぼ行われていないことですね。やはり、せっかくテイスティング能力の高い女性たちに真剣に審査してもらうのですから、コメントもきっちり書いてもらおうと思っています。

蔵元さんたちは、フィードバックは自由に使っていただけます。ホームページに載せるとか、お酒の紹介に使うとか、必要に応じて好きなように活用して欲しいです。もちろん、今後の商品開発にも役立ててもらえればそれもすごく嬉しいですね。

―― ところで先日、「日本酒を愛する女性国会議員の会」会長の野田聖子さんが、「美酒コン」の名誉会長に就任されたそうですね。

友田さん:「日本酒を愛する女性国会議員の会」は、野田聖子さんが、同じくお酒好きな橋本聖子さん、小渕優子さんと3人で立ち上げられたんですよ。「美酒コン」の基本理念は、「日本の伝統文化の継承」「地域経済の活性化」「女性が活躍する社会の実現」。まだまだ数少ない女性国会議員として長年にわたり活躍されている野田聖子さんからご賛同をいただけたことで、これらの理念の実現に向けたさらなる追い風になると信じています。

―― 今回は東京での開催ですが、来年以降の展開はどうなさるのでしょうか?

友田さん:2024年は北陸新幹線福井敦賀延伸を記念して、私の故郷でもある福井で、2025年は大阪・関西万博会場内で開く予定です。毎年場所を変えて全国各地で行うことによって、日本酒をベースとした観光や地域の活性化にもつなげていきたいですね。

単なるコンクールにとどまらず、日本酒の教育・啓蒙、販売促進、酒蔵ツアー造成・SAKEインバウンド拡大など、様々な方面で日本文化発展にも貢献したいというのも、私たちの想いです。

―― 最後に、友田さんにとって日本酒とは何かを教えてください。

友田さん:日本酒は、長い歴史を誇りますし、ずっと神様と深い関係にあるという意味でも特別な飲み物です。大げさかもしれませんが、日本人の「魂」の根幹にあるものだと感じています。

人との付き合いを潤滑にしてくれるのも日本酒ならではの魅力です。よく言うんですけれども、コーヒーを飲みながらでは出ない話が、お酒を飲みながらだと出ることって、よくあると思うんですよ。「差しつ差されつ」しているうちに、初対面の相手ともすぐに打ち解けた、という経験を持つ人は多いのではないでしょうか。

そんな日本酒と、そして素晴らしい日本酒文化を、「美酒コン」を通じて若い方や女性などにも、もっともっと知って欲しいですね。

―― 本日はありがとうございました!私たち美酒企画も“美酒つながり”ということもあり、「美酒コン」の成功を心より応援しています。

<「美酒コン」開催スケジュール>
審査員募集締切:2023年8月10日(木)
出品酒エントリー締切:2023年8月31日(木)
審査会:2023年9月28日(木)
表彰式&大試飲会:2023年10月27日(金) ※PASONA SQUAREにて実施
公式サイト:https://bishucon.com/