710年に都が置かれ、中国との交流が活発に行われた国際都市・奈良で銘酒「春鹿」を醸す今西清兵衛商店
2005年より5代目社長として蔵を率いる今西清隆さんにお話を伺いました。

■代表銘柄「純米 超辛口」は魚介類と相性抜群

― まずは国内外に多くの愛好者を持つ「春鹿」について教えて下さい。

― 「春鹿」は、世界遺産にも登録されている春日大社の「春」神の使いである「鹿」から名付けました。
果実のような香り豊かな純米大吟醸酒、スッキリ軽快な辛口タイプ、お米の芳醇な旨味のある純米酒、発泡タイプなど様々なラインナップを取り揃えています。中でも看板商品と言えるのが「純米 超辛口」です。

― 「純米 超辛口」は、世界的に評価の高い“究極の辛口酒”ですね

― 「純米 超辛口」は4代目である私の父がつくり上げました。
持ち味は、コクのある味わいとシャープな切れ味。冷やしても温めても美味しく、料理と一緒に楽しむと真価を発揮します。魚介類との相性が抜群で、日本のみならず海外の日本酒愛好家も魅了している逸品です。

また、「純米 超辛口」を軸に、“中取り”、“生原酒”、“純米吟醸”など様々なバージョン違いも季節限定で造っており、絶えず進化を続けています。

■「春鹿」と料理のマリア―ジュ会は毎回大盛況

― 東京や大阪などで会員向けのイベントを主催されているそうですね。

― はい、東京ではホテル椿山荘東京の料亭「錦水」様などで開催しています。
私もお店の方たちと一緒に試食・試飲をし、合わせる料理を吟味して決めています。

参加者の皆さんには、お酒とお料理の相性について丁寧に説明するのが私の流儀です。お酒にどういう特徴があって、何故このお料理と合わせたのかをお話しすることで、満足してもらえるよう心がけています。

現在、新規会員は募集していないのですが、ホテル椿山荘東京内のレストランでは「春鹿」を置いている店が多いので、東京に来たら是非「春鹿」を味わいにいらして欲しいです。

― 春鹿ファンのためにニュースレターも送っていらっしゃるんですよね?

― 「春鹿酒蔵便り」というニュースレターを定期的にお届けしています。イベント情報やコンクールの受賞報告、それに社員の海外出張についてなど、「春鹿」に親しみを持ってもらえるような内容を掲載しています。写真をふんだんに載せているので、見ていて楽しいと好評です。

■お得に飲み比べができる「酒蔵SHOP」は人気観光スポット

― 御社は、古都・奈良の旧市街地「ならまち」に位置しているのも魅力の一つですよね。

― 「ならまち」は東大寺や興福寺、元興寺などの世界遺産に囲まれた町です。歴史的な建物が多く、風情ある街並みが広がるとても美しいエリアです。弊社は、世界遺産の春日大社から近い絶好のロケーション。毎日、世界中から大勢の観光客が訪れてくれています。

ー 直営の「酒蔵SHOP」では手軽に試飲を楽しめるので私も大好きです!

ー 500円で5種類のお酒を試飲でき、お酒は季節ごとに入れ替えています。定番の商品に加え、季節限定のお酒、「酒蔵SHOP」でしか飲めないお酒なども味わえるので、いつ来ても新鮮な体験ができます。

試飲用のオリジナルグラスは、東大寺正倉院の宝物として名高い「白瑠璃碗」をイメージし、奈良の象徴である鹿を底にデザインしました。
グラスは購入できるのでお土産としてもお薦めです。奈良旅行の際は是非、春鹿の「酒蔵SHOP」に来て、素敵な思い出を作って欲しいですね。

【取材を終えて】

今西清兵衛商店さまを訪れるのは初めて。「日本清酒発祥の地」である古都・奈良の歴史の重み、その地で伝統を受け継ぐ誇りを強く感じました。
訪問時は、今西社長と中野課長がご対応くださり、滞在時間はなんと5時間!お忙しい中たっぷりとお話をうかがい、蔵見学の後しっかり試飲も楽しませていただきました。
スタッフの皆さんもとても感じが良く、あらためて「和醸良酒(わじょうりょうしゅ)」という言葉の意味をかみしる機会となりました!

<中国語版公開日>2023年11月
<記事制作>美酒企画代表取締役 柴田亜矢子