もともと私は、美味しいお酒を仲間とワイワイやりながら楽しめれば満足だった、ただの吞兵衛でした。

 日本酒のつくり方の知識はほぼ皆無、麹と酵母の区別もつかなかった私の意識が大きく変わったターニングポイントが、“大人の早慶戦”とも称される「美酒早慶戦」です。美酒早慶戦とは、早稲田・慶應出身の酒蔵の日本酒を、早稲田・慶應出身の酒好きが飲み比べて投票し、蔵別順位と大学別順位を決するという年に一度のビッグイベント。2011年の開始以来、年々規模が拡大し、今では約80の酒蔵と約180名の酒好きが参加しています。

 数年間、早稲田側のスタッフとして運営に携わる中、理想とする酒を追求し日々たゆまぬ努力を重ねる蔵元さま、日本酒文化を国内外に広める役割を担う「酒サムライ」、それに熱狂的な愛好家など、これまで会ったことない方々とのご縁に恵まれました。

 強く刺激を受け、私も日本酒について深く知りたいと、書籍やセミナーなどで基礎を学習。その後、国際唎酒師(英語)の資格を取得し、日本酒の記事執筆や酒蔵見学会主催などを少しずつ始動いたしました。

 そして2021年、「日本酒を一生の仕事にしたい」と心に誓い、初めてとなる起業にチャレンジ。周囲からの温かいサポートもあり、以前からこの日にしようと決めていた、7月1日というBY(酒造年度)が始まるその日に船出の準備を整えることができました。

 蔵人の皆さまが、ひとつひとつの工程を丁寧にやり遂げて美酒を醸していくように、私たちも、ひとつひとつの出会いを大切にしながら美酒企画を育み、作り手と飲み手の想いに寄り添った活動をおこなってまいります。


株式会社美酒企画 
代表取締役 柴田亜矢子